Enjoy Your Sound（音楽を楽しもう）の頭文字が教室名になっている、EYS音楽教室さん。「社会人からはじめられる音楽教室」というコンセプトのもと、都内を中心に関西圏や東北地方など、全国各地にお教室を展開されているようです。

今回、無料体験レッスンを申し込むのは、EYS 千葉スタジオ。ホームページ上の専用フォームから、ボーカルレッスンの予約をします。コース選択のカテゴリーには、ボーカルだけで7つのコースがあり、どれを選ぶべきか迷ってしまう感じです。体験レッスンの希望日を平日にするか、土日祝にするか、そのほか時間帯などを選択してメールを送信すると、すぐにフリーダイヤル発信で電話がありました。コールセンタースタッフによる迅速な対応と言えば聞こえは良いですが、OLさんがオフィスのPCをこっそり使っていたら、トラブルに発展しかねません。とは言え、先方の柔軟な対応によってレッスン日がスムーズに決まりましたので、「結果オーライ」としておきましょう。

無料体験レッスンを明日に控えた夕方、レッスン日時の再確認のため、数日前と同じフリーダイヤル経由で連絡が入りました。オペレーターの女性とひと通りお話をして、電話を切ったとたん、今度はメールの着信音があり。内容を確認してみると、明日のレッスンを担当してくださる講師の方からのものでした。新しいお客さまを迎えるための「おもてなし」「ホスピタリティ精神」と言えなくもないですが、私としては入会に向けたプレッシャーをひしひしと感じました。

無料体験レッスンの当日。私はJRの千葉駅から歩きましたが、めざす「カラオケ館」は、京成電鉄の千葉駅からの方が近いようでした。EYS千葉スタジオはカラオケ屋さんの1室を間借りしている形なので、お教室のロケーションは当然、飲食店や呑み屋さんが立ち並ぶエリアになります。明るい昼間の時間帯は問題ないですが、日が暮れたあとは怪しいムードになるかもしれません。

カラオケ館の1階フロントで体験レッスンに来た旨を伝えると、「408号室で先生がお待ちです」とのこと。約束の時間にはまだ少し早かったので、4階フロアのおトイレをお借りして、レッスン室を覗いてみると…、お部屋には誰もいません。どうしたものかと考えていると、背後から「入れ違いでしたね（笑）」と言いながら男性が登場。どうやら、フロントから連絡を受けて、私を迎えに行ってくださったようです。

こうしてようやく入室した「408号室」は、6畳ほどの広さでしたが、ピアノやドラムなどの楽器が雑然と並んでいて、実際に使えるスペースは、全体の半分程度といったところ。ボーカル教室のマストアイテム「姿見」もなければ、カラオケ屋さんだと言うのにカラオケの機材もありません。いちおう小さな窓はついているものの、あまりに居心地が悪く、息苦しさを感じます。

体験レッスンの確認メールに添えられていたのが「事前アンケート」で、音楽経験やレッスンに対する希望など、3つの質問に回答して返信していました。当日は、このメールの内容に沿って話が進み、名前をはじめとした個人情報を改めて記入する必要はありませんでした。こちらのスクールでは、あらゆるデータをスマホで管理できるらしく、現代的・合理的といった印象を受けました。

冒頭に、レッスンは30分間であること、歌よりも発声方法に重点を置くこと、などの説明を受け、まずは私が好きな曲を歌ってみることに。すると、先生はスマホで曲を検索し、私は自分のスマホを使って歌詞を検索しなければなりませんでした。その後、思いっきり歌声が入った曲をバックに、先生＆私＆アーティストさんによるアンサンブルがスタート。当然、私の声は他の2人にかき消されてしまい、「何がわかるのだろうか」と不安に思いながら歌い続けました。

ワンコーラス歌い終えると、高音になると声が小さくなるが、それは声量が不足しているため、という評価をいただきました。そこで、この欠点を改善するため、必要なときに必要な量の息を出すための練習に移ります。まずは、基本である腹式呼吸を教えていただいたのですが、これが何とも言えずザックリしたもので、きちんと出来ていたのかどうか、自分ではわかりません。

次は、「スーッ」と音を出しながら息を吐く練習。曲に合わせたり、リズムに合わせたり、強弱をつけながら何度も「スーッ」の練習が続きます。先生の口元からは「スーッ」と、力強い音が聞こえてきますが、私は聞き取れるか、聞き取れないかという小さな音しか出せません。「スーッ」と息を吐くだけ、とは言えけっこう大変な作業で、だんだんと腹筋がピクピクしてきました。

ここまで、曲も、メトロノームのリズム音も、すべてスマホでまかなっていた先生ですが、「最後にもう一度歌いましょう」という段階になって、ようやくピアノに手をかけました。デジタルだけなくアナログにも対応できることに感動したのも束の間、最後にワンフレーズ歌い終えると、ちょうど体験レッスンも終了となりました。個人的にはもっとピアノとのセッションを楽しみたかったのですが・・　前半の生＆私＆アーティストさんによるアンサンブルが惜しいです。

体験レッスンを終えると、窓際に置かれた小さなテーブルを囲んで座り、コース内容などの説明を受けました。

[個人レッスン]
12,185円（2回／１月・レッスン60分間）
17,120円（3回／１月・レッスン60分間）
22,055円（4回／１月・レッスン60分間）
※レッスン日が平日限定の場合、500円オフ。
※曜日・時間固定の場合、さらに500円オフ。

★レッスン時間…講師のスケジュールによる。

★予約方法…レッスン日・スタジオ・時間・講師など、すべて自由に選べるオールフリー制を採用し、スマホ経由で予約が完了する。レッスンのキャンセルは、前日の夜10時まで可能。

★支払方法…銀行口座からの引き落とし。一括払いと月々払いを選択可能。
体験レッスン当日に入会する場合、入会金13,000円が半額に。
毎月、29・30・31日に体験レッスンを受ける場合には、当日入会で入会金13,000円が無料に。

レッスン室が、学校の体育館倉庫のような空間だったことを除けば、レッスンの内容自体はなかなか良かったと思います。何をするにもスマホ、というスタイルには若干引きましたが、先生の言う通りに練習していくと、「確かに声が出る！」という実感がありました。とは言え、ピアノにかけられた紫色のカバー、楽器が雑然と並ぶ窮屈なお部屋、窓から見える飲み屋街。オールフリー制やスマホ予約など、新しい試みを打ち出しているわりに、お教室には時代遅れなムードが漂っていました。

そして、もう1つ。どうしても気になったのが、レッスン料金についてです。あらかじめオペレーターの方から「教室の説明に30分から1時間程度いただきます」と言われてドキドキしていましたが、40ページ以上ものカタログ手にして納得しました。カタログにはいろいろ魅力的なサービスが掲載されていましたが、実際のレッスン料金については、先生のスマホの「メモ」で確認しただけ。他のスクールに比べてやや高額なレッスン料金を、サービス面で薄めているようにも感じます。

現在は講師業をメインに活動なさっているという先生は、黒シャツにベスト、そして細身のパンツ姿。モードなスタイルと言えなくもないですが、カラオケ店の中だけにどことなく夜のお仕事をイメージさせます。茶系の髪の毛と相まって、どこかチャラい印象を受けますが、その歌声にはオーラが感じられましたし、ほんの少し耳にしたピアノの音色を含めて、指導者としてのスキルはなかなかのレベルかもしれません。生徒を出迎えることから始まり、レッスン後に1階まで送ってくださったことなど、接遇マナーも◎。ご本人に落ち度はないものの、ホストのようなルックスとカラオケ店でのレッスンというのが、どうにも悔やまれます。