声についてしっかりと学んだ講師陣「歌声コンシェルジュ」によるボイストレーニングが受けられるという、メアボーカルスクールさん。ホームページ上には、スクールの発表会や生徒さん同士の交流会などの写真がアップされていて、雰囲気のよさが伝わってきます。
無料体験レッスンは、WEBのほかにLINE経由でも受付けているようですが、いきなり「友だち」になるのも気が進まないので、ホームページ内のお問合せフォームを使って申し込みをしました。必要事項や体験レッスンの希望日時などを入力して送信すると、すぐに自動返信メールを受信。その後、代表の方から日程確認メールが届いて、その日のうちにレッスン日時が確定。スタートは好印象でした。

メアボーカルスクールは、柏駅の東口から歩いて5分ほど。ホームページには、駅からの徒歩ルートがわかりやすく説明されているので、迷うことはないでしょう。指示に従って線路沿いの道を歩いて行くと、目的の場所に到着。ご案内メールにあった通り「207」を呼びだすと、オートロックが解除されて建物の中に入ることができました。
何となく気づいていたのですが、こちらのスクールはマンションの1室をお教室として使っているようで、私が指定された207号室とお隣の206号室の2部屋がメアボーカルスクールということのようです。驚いたのは、マンション入り口左手の共有スペースに、「洗濯室」の表示があったこと。興味本位で覗いてみると、コインランドリーにあるような洗濯機が2台並んでいて、何とも言えないシュールな空気が漂っていました。

階段を2階まで上ると、上り切った正面が「207号室」でした。私が来たことがわかっているのですから、ドアを開けて待っていてくれても良さそうなものですが、「MEHR」のプレートがかけられたドアは閉ざされたまま。それでもさすがに鍵は開けられていたので恐る恐るドアを開け、中に向かって声をかけたものの、この時点ではまだ室内の様子をうかがうことは出来ません。奥の方から聞こえる「どうぞー」の声を頼りに、玄関で靴を脱ぎ、勝手にスリッパを履き、ユニットバスと小さなキッチンの間を縫ってガラスの扉を開けると、ようやくホームページで見たのと同じレッスン室があらわれました。

単身者向けのワンルームマンションと予想した通り、室内には6畳ほどのお部屋が1つ。作り付けのクローゼットなどを見ると、かなり年季が入った建物のように感じます。もともとは畳のお部屋なのか、床にはパズルマットが敷かれ、その上に毛足の長い茶色のラグ。講師の先生は裸足でリラックスなさっていて、アットホームと言えば聞こえが良いですが、個人的にはあまり印象が良くありません。電子ピアノのほかにギター、譜面台、簡単な姿見などひと通りのアイテムは揃っていますが、防音面も含めてどうしても「レッスン室」とは思えない印象です。昭和の香りがする「接骨院」なイメージを目指して作っているのかしれませんね。いささか、ボーカルスクールとはかけ離れている印象です。

最初に、簡単なアンケートを記入。質疑応答タイムを終えると、「まずは歌ってみましょうか」ということになり、先生はiPadを使って私のリクエスト曲を探しはじめます。それと同時に、何やら忙しそうに動き回って、曲の歌詞をプリントアウトしてくださいました。カラオケにあわせてワンコーラス歌い終えると、先生による総評。改善点を指摘される一方、良かったところを見つけてほめてくださり、ほんの少しポジティブな気分になります。

私の歌の1つの問題として、「高い音になると声量が少なくなる」という指摘があり、この部分を強化するため、まずは腹式呼吸の練習をすることに。鼻から吸って、口から吐く。お腹の中に風船があるようなイメージで、空気を吸い込んだときにお腹まわりが大きくなって、空気を吐き切ったとき小さくなるように。そんなアドバイスをいただきながら、腹式呼吸の練習を繰り返します。

続いては、短い時間でも何かを身につけて帰ってもらいたいと、日本人があまり使わないと言われる筋肉、「表情筋」と「腹斜筋」の筋トレ法を教えていただきます。歌手や俳優さんたちがいつまでも若々しくいられるのは、歌ったり声を出すことで表情筋を鍛えているから。そんなことを聞かされると、私もやる気が出てきます。「ド・レ・ミ・レ・ド」の音階に合わせて、「い・う・い・う・い」と、口を大きく横に開いたり、ギュッとすぼめたり。低い音から高い音まで歌い終えると、頬のあたりがピクピクする感じがしました。

次に、腹斜筋を鍛える方法として、「シュッ・シュッ・シュッ」と音を出して息を吐き、素早く息を吸い込んで「あ・あ・あ」と声を出す練習。先ほどの表情筋の筋トレと違って、腹斜筋は筋肉を動かしているという実感が得づらく、リズムに合わせるのがやっと。あまり楽しいものではないなぁと思っているうちに時間が来たようで、ここで体験レッスンは終了となりました。

体験レッスンを終えると、電子ピアノを挟んで向き合って座り、コース内容などの説明を受けました。

以下　税抜き表示となります
[個人レッスン]
15,000円（4回／１月・レッスン60分間）
<低回数> 4,500円×回数分（レッスン60分間）

[ペアレッスン]　※1人あたり
10,000円（4回／１月・レッスン60分間）
<低回数> 3,000円×回数分（レッスン60分間）

★レッスン時間…講師のスケジュールによる。

★予約方法…レッスンは、基本的に曜日時間固定。前月25日までのWEB申請で、コースなどの変更可能。

★支払方法…銀行口座からの引き落とし
体験レッスン当日に入会する場合、入会金10,000円が無料に。
また、体験レッスン後3日以内に初月度の月謝を振り込むことで、同等の特典を受けられる。

20分程度の短い時間ではありましたが、レッスン内容そのものについては、おおむね満足がいくものでした。最初に歌声をチェックして、1人1人の問題解決に向けてレッスンを組み立てるスタイルや、1度のレッスンで上手くなるわけではないと、正直に伝えてくださるところにも好感が持てました。こうしたソフト面には問題がないものの、建物や機材などのハード面は少々残念な感じがします。築年数が古いマンションの1室を使用し、レッスン室の内部も微妙な雰囲気。ただただ歌が上手くなりたいとストイックに取り組まれる方は気にならないかもしれませんが、教室をとりまく環境にもこだわりたいという方にはおすすめできないかもしれません。
また、カラオケを利用するのはよいのですが、ピアノ伴奏でのレッスンは対応しているのかなど気になるところがございます。

黒ぶち眼鏡がお似合いの先生は、講師業の傍らバンド活動もなさっているとか。たしかに、歌声の分析や呼吸法の指導など、1つ1つわかりやすい言葉で話してくださいましたし、レッスンの組み立てや指導中の声かけなども的確で、安心してレッスンを受けることができました。とは言え、安心できたのはレッスンに関することだけで、その他については不満が残る部分もあります。男性の先生ということで、仕方がないのかもしれませんが、細かいところまで心配りが出来ていないように思います。初めて教室に来た生徒を椅子に座ったまま迎える、こちらに椅子をすすめない、裸足のままでレッスンをする。とくに気にしないという方もいらっしゃると思いますが、私はとっても気になりました。ただし、こちらのスクールでは、1,080円支払うことで別の講師の体験レッスンが受けられるようですから、余裕がある方は何度かレッスンを受けてみるのも良いかもしれません。